2016年10月8日土曜日

コメント紹介 その5




『世界の辺境とハードボイルド室町時代』 高野 秀行、 清水 克行

ソマリアだけではなく、東南アジアやインドなどと中世日本の類似性なども指摘されていて面白い。公平性における信長とイスラム主義とか、新米より古米のほうが値段が高いとか、綱吉の画期的なところとか、中古車と穢れと使い捨てとか。対談なので緻密に積み上げていく感じではないんだけど、個々のエピソードが刺激的すぎる。そして、清水克行と藤木久志や夏目房之介といった師匠たちとの心温まるエピソードや、対談者二人の現代を相対化しようという真摯な眼差しは読んでいて気持ちよかった。



『家康、江戸を建てる』 門井慶喜


大河ドラマ「真田丸」とちょうど時代がかぶる本書。治水事業に始まり、飲み水の確保に、貨幣の鋳造、江戸城築城など江戸という都市の成り立ちと、家康の武力だけではない天下人を目指したあの手この手の深謀遠慮がうかがえて、さらにドラマも楽しめそうです。



『タスキメシ』 額賀 澪


駅伝を題材にした小説。この作品のテーマである、好きなことを“あきらめる勇気”と、そんな状況でも“続けていく勇気”との葛藤は、スポーツに限らず、誰もが経験することではないでしょうか。でも自分は、この主人公のように自分の選択を「後悔していない」と言えるだろうか。これまでの人生を、ふと振り返ってしまいました。