・『キャットショップあいざわの奇跡』梅原満知子
猫にはモテる主人公が始めた猫専門のペットショップ。しかし、当人の知らないところで次々と猫がしゃべるという奇跡が起きる。
切ないけれど、とても心の温かくなる話。1話完結なので、1話だけ読んでも満足できますが、最後のお話でちゃんと全てを繋げて終わってくれるので読後感もよかったです。
・『ジェーンとキツネとわたし』イザベル・アルスノー/絵 ファニー・ブリット/文 河野万里子/訳
いじめられ学校のどこにも居場所がないエレーヌ。心のよりどころは小説「ジェーン・エア」を読むこと。エレーヌの孤独と、新しい友達に出会ったことによる希望が短い言葉とイラストの色彩で表現され心に残る一冊です。
・『90歳の昔話ではない。 古今東西サッカークロニクル』賀川浩
FIFAにも表彰された現役最年長ライターがつづった90年にわたるフットボールの歴史。まだまだ現役でいらっしゃるんだけど、読んでて「一人の高齢者が死ぬと、一つの図書館がなくなる」ってのを思い出した。フットボールクロニクル、フットボーラークロニクル、ワールドカップクロニクルの三部構成で、特に好きなのはフットボーラークロニクルだ。文字数は少ないものの、往年の名選手、名コーチたちの知らない部分がうかがえて読んでいて心が踊った。
・「サラバ!」西加奈子
最近の日本の家族は、海外赴任勤務が増え、主人公の歩のように特殊な環境の中で成長する子どもも相当、増えてきている。歩や他の家族の心情に想いがふと重なる瞬間があれば「サラバ!」のこの言葉、誰かと共感したくなる。